「結露が発生しにくい家に住みたい」
冬の寒さが厳しい近年、このようなお考えをお持ちの方は少なくありません。
ただ、結露が発生しないようにするためにはどうすれば良いのでしょうか。
今回は、結露のしない家を実現するためのポイントをご紹介します。
マニアックな話になってしまいますので
興味ないかたはスルーしてください(笑)
□結露の原因
結露の原因はとてもシンプルです。
結露する条件が揃えば結露するし、結露する条件にならなければ結露しません。
とても当たり前のことを書いてますが、これがとても重要なのです。
結露は「なんとなく」や「勘」では発生しないので、「結露する条件はなにか?」を知っておくことが重要なポイントになります。
結露する条件は1つ。「露点になるかどうか」です。
「温度差があるから結露する」とよく聞きますが、これは、表現としては正確ではありません。
温度差があっても露点にならなければ結露しませんし
温度差が無くても露点になれば結露します。
例えば窓ガラス。
部屋Aの室内空気の温度が23℃で相対湿度が50%の時には、露点は12℃
窓ガラスの室内側の表面温度が12℃以下になると結露して、水滴が付きます。
この場合の温度差は11℃です。
部屋Bの室内空気の温度が23℃で相対湿度が70%の時には、露点は17.2℃
窓ガラスの室内側の表面温度が17.2℃になると結露して、水滴が付きます。
この場合の温度差は6℃です。
温度差がなくても露点になれば結露します。
湿気が少なくても露点になれば結露しますし、
高温でも露点になれば結露します。
湿気が多いだけでも結露するわけではありませんし、
温度が冷えただけでも結露するわけではありません。
それほど「露点」というポイントが結露するかどうかの境目なのです。
※露点は、温度と湿度の関係で刻々と変化します。
□結露しない家づくりのポイント
先ほどは結露の原因である「露点」についてご紹介しました。
それらを踏まえた上で、ここからは結露しない家づくりのポイントについて詳しくご紹介します。
「結露しない家」というと「窓ガラスが結露しない家」と思い浮かべませんか?
結露の発生は窓ガラスだけではありません。
窓ガラスが結露すれば目に見えるのでわかりやすいのですが、露点になればどこでも結露します。
壁の表面も結露しますし、壁の中も結露します。これが「壁体内結露」です。
なので、「結露しない家」というのは窓ガラスに限らず壁の中や押し入れや物入れの中も結露しないようにしなければなりません。
結論をいうと、「結露しない家」をつくることはとても難しいことです。
なぜかというと、日本には四季があり、冬の結露を止めても夏の結露が止まらなかったり
長雨が続いたり強烈な台風が発生したり火山の噴火で日照が確保できなかったり異常気象が起こったり。温度と湿度の変化が不安定なので、例え結露の量を少なくすることはできても温度も関係してくるので、ほったらかしで完璧に結露を止めることは難しいのです。
さらにいうと、実際には、結露しない事が本質とは言えません。
家づくりでの結露対策の本質は、「結露しても乾くこと」。
乾いてさえくれれば問題は起こりにくいのです。
結露が原因で木材が腐ってしまって構造強度を欠くことや、
カビが発生して健康面を脅かすを止めるのが目的です。
その考え方の順番をご紹介したいと思います。
順序①(どんな家でもできることです)
まずは、「常時、室内の温度を上げておく」ことです。
露点にならないように、空気、壁の表面、壁の中の空気、壁の材料の裏側、窓ガラスの表面、窓の枠の表面などなど、冬なら暖房して、夏なら冷やしすぎないよう、露点にならないように温度と湿度を上げ下げしてコントロールしてください。
暖房というのは、機械を使うだけではありません。太陽の恩恵も暖房です。
暖房費が抑えられるように日中は、なるべく太陽の恩恵を受けられると良いでしょう。
太陽が登る直前(冬至では朝7:00前)が一番冷えるので
露点まで温度が下がらないように夜中でも予備的に暖房しておくことでかなり結露が防げます。
「温度差があると結露するのではなく、温度差が無いと結露しやすいので、もっと温度差をつくりましょう!ただし温度をあげる方向でね!」
順序②
その次に、新築やリフォームでの工事が必要になってしまいますが「結露ポイントを計算(内部結露計算)をして断熱材を設置する」か「連続した防湿層」を設けること。
結露の関係でよく「性能の良い断熱材を使う」ということが挙げられますが、それよりも先に「連続した防湿層」を設けることを検討するのが早いでしょう。
なぜなら、「断熱材も露点になれば結露するから」です。
「結露すれば濡れる→濡れると断熱材の断熱力が落ちるて熱が伝わりやすくなる→温度が下がり露点になり結露する→断熱材が結露して濡れる→断熱性能が落ちる」
という負のスパイラルに陥らないために、湿気の流れをコントロールします。
方法は2つあります。
一つは、断熱材が「乾きやすい状態」にしておくこと。
もう一つが、断熱材が湿気にくくするために「連続した防湿層」を設けておくこと。
が有効的です。
順序③
「家の外側に面する部分を熱の伝えにくい素材で構成する」
簡単に言うと、断熱性能を上げることです。
壁や屋根(天井)と床(基礎)そして窓で外部に接する部分の断熱性能を考えましょう。
順序④
「湿気を乾かす(逃がす)構造の構成」
どんな状況でも条件がそろえば結露するということは、「結露はするものだ」ということを前提に考えた方が良でしょう。結露しても乾いてしまえば腐りやカビの問題が減るでしょう。
空気中の湿気をゼロにすることは難しいので、湿気を乾かすか逃がすかすれば、木が腐ったりカビが生えることを抑えてくれますので、断熱材やその他の材料の外側で風通しを良くしたり、太陽熱で乾かしたりする構成で家づくりをしましょう。
□まとめ
今回は、結露のしない家を実現するためのポイントをご紹介しました。
マニアックな内容で、専門用語も多くてわかりずらくてすみませんでした。
まずは、
窓ガラスの結露を手っ取り早く防ぐためには、窓を温めること。
さらに家全体の結露を改善するにも、暖房は欠かせません。
その暖房にかかる費用をなるべく少なくする方法として、
太陽の恩恵など考えたパッシブデザインを取り入れて断熱性を高めたり、風通しを考えたり、家の性能を上げることをおすすめします。
この考え方は、設計者によって意見の分かれるところですが、ご予算も関係してきますので設計者さんとよくお話しされて、どの程度対策するかを検討してみてください。
住まいの目的は、「心地よさ」や「住むかたの健康と幸せ」などなど様々です。
「結露しないように最善は尽くすけれども、たとえ結露したとしても、腐りやカビに影響が出ないようにする」という方が正しい選択ではないかと考えます。
当社では、結露に向き合い、家づくりをサポートいたします。
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