高気密高断熱住宅が寒い場合がある?その理由について解説します!

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「高気密高断熱住宅」でも、実際に住み始めると寒さを感じてしまう場合があります。
暖かいと思っていたはずの高気密高断熱住宅がなぜ寒いのでしょうか?


今回はそのような疑問に対して、高気密高断熱住宅でも寒さを感じる原因と、住宅の気密性や断熱性を確認する方法を紹介します。

□高気密高断熱住宅が寒い場合があるのはなぜ?

高気密高断熱住宅でも寒く感じてしまう場合に考えられる理由は、4つあります。

①暖房不足や採暖不足のまま

1つ目は、暖房不足や採暖不足のままという場合です。
これは、皆さんが勘違いされる点でして、盲点となっています。
「高気密高断熱住宅は暖かい」という言葉が先行してしまったために生まれた盲点です。

正しくは、「高気密高断熱住宅は熱が伝わりにくいので、暖房や採暖をすれば暖かさが継続しやすいので暖かい」ということになります。

ですので、寒い日に無暖房にしていると、それほど暖かくないままの状態がキープされやすいので、寒く感じます。

「無断熱の隙間の多い住宅よりはだいぶ暖かい」という言葉が言い換えられて「高気密高断熱住宅は暖かい」だけが残っている状態です。

太陽の熱をいただく「採暖」や、

エアコンやファンヒーター、薪ストーブなどの「暖房

キッチンでの調理熱、冷蔵庫の外側、テレビの熱、パソコンや充電器、掃除機の排気の熱など、

生活で出る熱「生活排熱」などが主な熱源となり、このような熱源で暖まるとどれくらい暖かさが続くかが、高気密高断熱の性能の差になります。

②気密性が不十分な場合

2つ目は、気密性が不十分な場合です。スキマ風、空気の漏れです。
高断熱住宅でも、その性能の数値はあくまでも机上の数値です。現場での施工次第で建物に隙間ができて空気が漏れます。
そのような施工の不備により多くの漏れがあると、いくら性能の良い断熱材を使用していても、風が吹いたり、住宅の中と外に温度差があると圧力などで外気が室内に出入りして、室温が下がってしまいます。

③凸凹間取りやデザイン先行だと断熱材がうまく設置できない

3つ目は、凸凹間取りやデザイン先行だと断熱材がうまく設置できない場合です。
断熱材の性能の数値はあくまでも机上の数値です。複雑な間取りや屋根の形、デザイン重視の現場では断熱材が部分的にしか設けられず、断熱材が無いのと同じ効果になってしまい、外気と室内の熱の伝わるスピードが速くなります。

④窓、屋根(天井)、床(基礎)の断熱性能のバランスが悪い

4つ目は、窓、屋根(天井)、床(基礎)の断熱性能のバランスが悪い場合です。
外壁部分の断熱性能が良くても、屋根(天井)床(基礎)の断熱性が不十分な場合、寒さを感じてしまう可能性があります。
特に、トイレやお風呂、脱衣場は、1つ目の理由から、暖房で暖められる時間が短くて空気が冷えやすいので、ヒートショックを起こしてしまう危険性がありますので、注意しましょう。
寒さを防ぐには、窓を縦長にするよりは横長の方が寒く感じなかったり、トリプルガラスや複層ガラスにすることや、枠材に樹脂や木を使う、エアコンを設置するなど、解決策は多々あります。

□住宅の気密性と断熱性を知る方法とは?

気密性能について

気密性能はスキマ風や空気の漏れ、漏気が少ないことを数値化していてC値といいます。

C値は「気密測定機」により現地で測定されるので、住宅を建てた後でしか気密性を知ることは出来ません。施工される会社さんの過去の例を参考に判断するのが良いでしょう。

ちなみに数値は小さいほど気密性が高いです。ざっくり覚えるなら数値が小さい=スキマが小さいと覚えていいと思います。

一般的には「C値1.0以下」というのが高気密住宅と言われています。なぜかというと、漏気による「自然換気」ついて実験されていて、データがあるからです。

漏気(スキマ風)というのは2つの影響を受けます。

①住宅の屋内と屋外の温度差による影響

隙間が多いと、住宅の天井付近に暖かい空気集まり外へ逃げようと外へ圧力がかかり、逃げた分だけ下の方から冷気が入り込み、室内の空気が入れ替わることで自然換気する。→寒くなる。
気密性能がC値1.0よりも良い性能であれば、外気温が氷点下になっても、温度差が30℃以下であれば、家の空気がスキマから逃げようしないのでとて影響が無かったという実験結果です。
これを根拠として、高気密住宅の定義としてC値1.0以下とするとされたようです。

②住宅に当たる風の影響

もう一つの影響が、住宅に当たる風の影響です。

比較的強めの風(風速6m/秒)が吹いた状態では、C値1.0だと、1時間あたり0.2回ほど空気が入れ替わろうとする。5時間で1回住宅の空気が入れ替わる計算です。

C値0.7以下で同じ条件でも0.1回ほどの入れ替わりに。10時間で1回入れ替わる計算になります。

しかし、1年中強風が吹いているわけではないこともあるので、気象庁が出しているデータと、実際に住宅の周辺に家屋や建物が立ち並んでいるのか、野原にぽつんと立っているのかによって状況は変わります。比較的住宅密集地だと風の影響が少なくなりますが、中高層の建物が並ぶとビル風という強風が生まれます。

そしてC値0.36以下で同じ条件なら影響は無かったという実験結果です。

C値0.36以下まで気密性能が高まれば、ある程度強い風の影響でも、自然に空気が入れ替わることがないということは、ここ性能を目指したくなるのですが、いろいろなバランスがあるのでどうするかは住まいづくりのパートナーさんとよくよく相談されてください。窓の性能や間取りのバランスやコストのバランス、基礎の仕様、結露の計算などなど検討事項はたくさんあります。

とはいえ「C値0.7以下」を一つの目安にされると良いと思います。

ちなみにC値0.36の住宅とC値0.7はおよそ倍の性能ではありますが、室温が同じ暖かさをキープしたとしても冷暖房費が半分にに抑えられるわけではありません。C値を過度に期待しすぎるのも注意が必要です。

断熱性能について

これから新築する場合、「断熱等性能等級」という7段階の指針があり、こちらは数字が大きいほど高性能になります。

断熱等性能等級は、外皮平均熱貫流率(Ua値)で定められます。Ua値は、住宅全体からの熱損失量を外皮(屋根・壁・床・窓など)の合計面積で割った値です。Ua値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高いことを示します。

高断熱性能になると暖房費が上がる傾向に

近年、高気密高断熱の家づくりが多くなったことで、データも揃ってきました。

その中で、「Ua値が良いから暖房費が抑えられるわけでは無い」という謎のデータが注目されています。

この謎を紐解くと、「窓を大きくするとUa値が悪くなるけど、窓からの日射を効率よく取り入れた方が暖房費が安くなる」ということのようです。

断熱性能Ua値も気密性能と同様に、ちょうどいいバランスが大切で、設計者とどこを目指すかをよくよく相談しないと、性能の数値は良いけど寒く感じたり暖房費が高くなったりするということです。

□まとめ

以上、高気密高断熱住宅でも寒いと感じる原因とそれらの性能を知る方法を解説しました。
高気密高断熱住宅という名前だけでなく、気密性や断熱性と、日射取得についても、設計者さんとよくよく相談しましょう。
ナルセノイエでは、ファーストプランの段階から断熱等級と許容応力度計算をしています。愛知県西三河近辺で住まいを検討されていましたら、お気軽にモデルハウスへお越しください。

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